夏至のある週の土曜日は毎年,夏至祭と祝われます.洗礼者ヨハネの誕生日にちなんだものとのことですが,要するに都会に住んでいる人達は実家に帰り,サマーコテージで一家団欒で楽しい時を過ごすというものです.今年は20日(土)が夏至祭当日だったのですが,こちらでは何でもイブ(前の晩)から大騒ぎが始まります.古く北欧では一日が夜から始まると信じられていたことのなごりかもしれません.メーデーでもそうでしたが,あちこちで再びビールを片手にした若者が騒ぎ始めます.
それはともかく,夏至祭の風物詩として,湖の上での焚火があります.通常は各人がそれぞれのサマーコテージで小さな焚火を燃やしたのでしょうが,ラッペーンランタ市が主催する「焚火」があり,その見物人で溢れかえります.我々もアパートの住人何人かと見物に行きました.夜10時に消防局の船が点火し,おもむろに始まります.なんでも数年前までは焚火の近くでコンサートなどのイベントがあったらしいのですが, ここ最近は行われなくなったそうです.「フィンランド人はオーガナイズされたものが嫌いだから」と友人から聞きました.さもありなん,といったところでしょう.天気があまり良くなかったことが幸いして,通常よりもあたりは薄暗くなり,炎がより鮮やかに景色の中に浮かび上がりました.遠く湖に浮かぶ島でも小さな炎が見え,それもまた幻想的な風景でした.
毎年のことらしいですが,今年もまた泥酔者が勢いあまって湖に飛び込み,命を落とすという事件があったそうです.今年は4人だったとか.「天気が悪かったからな.4人とは少ない.」とは友人の弁です.メーデーのときもそうですが,祭りとなると人が変わったようにエネルギッシュになるというのは,フィンランド人の一つの特徴であることは間違いなさそうです.
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