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6. フィンランドで車を買うには

フィンランド人にとって車は,家の次に財産価値のあるものと聞きました.つまり,驚くほど高いのです.それ程,車が走っていないのかといえば,もちろん日本ほどではありませんが,学生の半分以上は車を持っているくらいに普及しています.高いのは税金のせいで,価格の半分が税金です.ですから,新車などは金持ちの贅沢で,ほとんどの人が中古車を買います.しかも,冬場は雪で,夏は埃で車はどろだらけです.たまにきれいな(掃除している)車を見かけたかと思うと,だいたいベンツなどの高級車だったりします.冬場は路面凍結は当たり前で,法律によってスパイクタイヤの装着が義務づけられていますし,エンジンを暖めるためのヒーターを動かすためのコンセントが駐車場に装備されています.高いし,メインテナンスは面倒なのですが,それでも車を買うのは,一つは夏場にせっせと旅行するためと,もう一つは厳しい冬場に街を歩くのは非常なる根性が必要だからです.

さて,ここラッペーンランタでは車屋(ほとんどが中古車販売を兼ねている)は街のある場所にかたまってあります.結構不便なところで,車を買うために車で行かなければならないという,変な場所です.先日,中古車の値段を調べようとここの友人にある車屋に連れていってもらいました.少しは覚悟していたのですが,驚くばかりの高値に後ずさりしてしまいそうになりました.例を挙げると,これは安いぞといった車が以下の通りです.

もちろん,これに加えて保険料がかかります.走行距離の多さには全く驚かされますが,まだまだ走ると自信たっぷりです.この価格がほとんど最低ラインで,走行距離もどれもこの程度です.10年以上前のモデルだとこうなります.いわゆる90年代の車だと200万円に手が届きそうになり,最新モデルだと200万円を超えます.新車は言うまでもなく日本で買う場合の2〜3倍はします.わずか10ヶ月の間しか居ないのに,あまりに莫大な出費(とリスク)を負うのは考えものです.レンタカーだと,大体1日1万円の相場なので,これは問題外です.

そこで,リースという手段を考えました.店員に聞いてみると,そういうシステムもあるが,通常は2〜3年を対象としている,との答えです.ここからが私の運の良さなのか,そこに連れていってくれた友人というのが,そこの店のオーナーの息子の友人で,私が希望だけ伝えると,後はフィンランド語で交渉してくれました.なせばなる,というのか,結局,10ヶ月という短い期間ながら,リースしてもらえることになりました.条件は以下の通りです.
 

この車の売り値は90,000FIM(225万円)なので,わりとコンディションの良い方に入ると思います.同じ金額を払っても先ほどのランサーさえ買えないし,しかも日本に帰るときには売らなければならないことを考えると,結構,良い条件だと判断しました.いずれにしてもこうした交渉事には,フィンランド人と一緒に限るということが良くわかりました.

ご存知の通り,ここは右側通行で,ガソリンスタンドもセルフサービスです.ご想像の通り,いきなり私の運転が混乱したのは言うまでもありません.おかげさまで,こちらは日本のように渋滞もなく,間違って左を走ってもしばらくは事故に合うこともありませんでした.ちなみに,車を買うときに必要だった書類はパスポートと国際免許書だけです.

5/15/1998

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